こんにちは、1級 色彩コーディネーターの石川です(プロフィール)。
このページでは、色彩検定の1級2次試験を受験する際に「最低限」必要になる知識をまとめています。
2020年に色彩検定の公式テキストが改定されました。改定にともなう注意点などをまとめた記事も合わせてお読みください。
1級2次”最低限”必須知識
以下で紹介するのはあくまで2次試験の「大前提」となる知識です(これが全てというわけではありません)。
量は多いものの、いずれも2.3級範囲の内容だったりしますので、内容自体は決して難しいものではありません。
PCCSの基礎
PCCSの色相番号、和名(赤、黄みの赤など)、洋名などは基本中の基本。確実に覚えておきましょう。
色相の表記に関連する出題としては「色みに関する修飾語がつかない(/つく)色相だけを使用して~」などといった問題がよく出るようです。
PCCSの明度&彩度スケールの把握
近年の出題傾向として この項目で紹介している「PCCSの明度&彩度スケール」の暗記は必須ではなくなっています。「だから今年も出ない」とは言い切れませんので掲載は継続させますが、覚えるかどうかは自己判断でお願いします
PCCSの明度&彩度スケールを暗記しておきましょう。

※表の縦列の4.5、5.5…などの数値は明度をあらわします。例えば dp2(赤のディープトーン)の明度は3.5になります。
※試験で使用するカラーカードは、基本的に偶数番号の色相しかないため、下表も、偶数色相のみの各トーンの明度・彩度表になっています。ただしVトーンだけは24色相分存在するため、下に別で表を作りました。
・・・と言われてもこの表を丸暗記するのは結構骨が折れます!
そこでPCCS明度表の暗記をちょっとだけ楽にするサポート動画を作成してみました。
配色関連用語の知識
配色にあたっては「同一○○で」「隣接○○で」「対照○○で」といった表記が頻繁に登場します。
それぞれの定義を明確にしておきましょう。


【表の見方】 例えば「類似明度」を調べたい場合は「横軸:類似」で「縦軸:明度」のセルをみてください「類似明度=明度差1~2」
マンセル-PCCS変換/慣用色名-PCCS変換
1級2次のカラーカード実技問題は、基本的にPCCSの色記号を答えさせる問題です。
ですから、問題文がマンセルなどの値で提示されていても、最終的にそれをPCCSに変換して答えなければいけません。
また、慣用色名(藍色、スカーレッドなど)のPCCS値を覚えておく必要があります。
マンセルとPCCSの対応表
近年の出題傾向として、この項目で紹介している「マンセルとPCCSの対応表」暗記は必須ではなくなっています。「だから今年も出ない」とは言い切れませんので掲載は継続させますが、覚えるかどうかは自己判断でお願いします
下はマンセル値とPCCSの対応表です。

上段の黄文字はPCCS値で 下段に対応するマンセル値を記載しています。
例えばPCCS(上段)の「5:O」はマンセル値「4YR」になります。
関連記事 ちなみに管理人が暗記するのに実践していた語呂合わせはコチラの記事(語呂合わせ:PCCSとマンセル変換/PCCSとオストワルト変換)で紹介しています
トーンの基礎
問題文の中に「伝統的な、和風なイメージで~」などという文章が出てきたらそれはトーンの指定をしています。
各トーンとイメージをしっかりと結びつけて覚えましょう。
vivid(v)ビビッド | さえた、鮮やかな、派手な、目立つ、 いきいきした |
---|---|
blight(b)ブライト | 明るい、健康的な、陽気な、華やかな |
strong(s)ストロング | 強い、くどい、動的な、情熱的な |
deep(dp)ディープ | 深い、濃い、充実した、伝統的な、和風の |
light(lt+)ライト | 浅い、澄んだ、子供っぽい、さわやかな、楽しい |
soft(sf)ソフト | 柔らかな、穏やかな、ぼんやりした |
dull(d)ダル | 鈍い、くすんだ、中間色的 |
dark(dk)ダーク | 暗い、大人っぽい、丈夫な、円熟した |
pale(p+)ペール | 薄い、軽い、あっさりした、弱い、女性的、若々しい、優しい、淡い、可愛い |
light graysh(ltg)ライトグレイッシュ | 明るい灰みの、落ち着いた、渋い、大人しい |
graysh(g)グレイッシュ | 灰みの、濁った、地味な |
dark graysh(dkg)ダークグレイッシュ | 暗い灰みの、陰気な、重い、硬い、男性的 |
White(W)ホワイト | 清潔な、冷たい、新鮮な |
Gray(Gy)グレイ | スモーキーな、洒落た、寂しい |
Black(Bk)ブラック | 高級な、フォーマルな、シックな、おしゃれな、締った |
配色の知識
各配色用語と、その用語の規定をしっかりと把握しておきましょう。
ドミナントカラー配色 |
概要:色相でまとめる配色 規定:「同一 ~ 類似」色相による配色 備考:トーンは任意 |
---|---|
ドミナントトーン配色 |
概要:トーンでまとめた配色 規定:「同一~類似」トーンによる配色 備考:色相は任意 |
トーンオントーン配色 |
概要:同系色相の濃淡配色 規定:[同一~類似]色相で、[類似~対照]トーンによる配色 備考:– |
トーンイントーン配色 |
概要:トーンでまとめた配色 規定:[同一~類似]トーンによる配色 備考:色相は任意 |
トーナル配色 |
概要:中明度・中彩度の配色 規定:[d. sf. ltg. g]トーン同士による配色 備考:色相は任意 |
カマイユ配色 |
概要:微妙な差を持つ配色 規定:[隣接]色相、[隣接]明度、[隣接]彩度による配色 備考: |
フォカマイユ配色 |
概要:カマイユよりも少し変化のある配色 規定:[類似]色相で、[類似]トーンによる配色 備考:– |
ビコロール配色 |
概要:明快な2色配色 規定:色相差、明度差、彩度差を大きくとった2色配色 備考:明確な規定はない |
トリコロール配色 |
概要:明快な3色配色 規定:色相差、明度差、彩度差を大きくとった3色配色 備考:明確な規定はない |
ダイアード配色 |
概要:補色による2色配色 規定:色相差12の2色配色 備考:「補色色相配色」の場合は色相差11-12だが、「ダイアード配色」は色相差12のものだけなので注意! |
スプリットコンプリメンタリー配色 |
概要:分裂補色による3配色 規定:ある色相Xと[Xの補色色相の両隣の]色相で構成される3色配色 備考:トーンは任意 |
トライアド配色 |
概要:3色配色 規定:色相差8の、3色配色 備考:トーンは任意 |
テトラード配色 |
概要:4色配色 規定:色相差6の、4色配色 備考:トーンは任意 |
ペンタード配色 |
概要:5色配色 規定:トライアド(色相差8)の3色配色に、白・黒を加えた5色配色 備考:トーンは任意 |
へクサード配色 |
概要:6色配色 規定:(A)色相差4の、6色配色/(B)テトラード(色相差6)の4色配色に、白・黒を加えた6色配色。 備考:トーンは任意/2パターンあり |
そのほか
そのほか出題されやすいものです。例えば「色料の3原色のうち暖色のみを使用して○○しなさい」といったようなかたちで出題されます。
暖色 | 1:pR~8:Y |
---|---|
寒色 | 13:bG~19:pB |
中性色 | 9:gY~12:Gと20:V~24:RP |
心理4原色 | v2. v8. v12. v18. |
色光の3原色 | v3. v12. v19. |
色料の3原色 | v8. v16. v24. |
まとめ
というわけで、色彩検定の1級2次試験で"最低限"覚えておきたい必須知識でした。
コメント
コメント一覧 (29件)
「その他」(暖色、寒色など記載)のところに「中間色」とありますが
「中性色」ではないでしょうか?
コメントありがとうございます。
仰るとおり「中性色」の間違いでした、すみません!
修正いたします、ご指摘ありがとうございます!!
補色の色相差が10-11となっていますが、11-12ではないでしょうか?
間違ってたらすみません。
ななしさん
コメントありがとうございます。
仰るとおり、補色の色相差が間違っておりました!ご指摘ありがとうございます!!
さっそく表の部分を修正させていただきました。
マンセルPCCS対応表ですが「21:pB」ではなく「21:bP」ではないでしょうか?
コメントありがとうございます!図の表記を修正いたしました。
コメント失礼します。
少し気になったので、、、
色相の表なのですが、
補色の漢字が変換ミスされています。
誤字のご指摘ありがとうございます!
のちほど 修正します。ありがとうございました!
突然質問失礼します。
各トーンとトーンのイメージって全て暗記した方がいいのでしょうか?(例:pトーンの場合、薄い、軽い、あっさりした、弱い、女性的、若々しい、優しい、淡い、可愛いなど)
またマンセル値とPCCSの変換はマンセル値2.5Rなどは載ってないのですが載ってないものは目測で変換するのでしょうか?
コメントありがとうございます。※以下はあくまで私の個人的な見解です
■各トーンとトーンのイメージ
これは全部暗記した方が良いと思います。実際の1級2次の問題では「商品Aを 若々しいイメージに見せたいので 適切な配色をこたえよ」といった感じの問題が出されます。この場合「pトーン=若々しい」を知らないとトーンが選べません。どのイメージ語が出題されるかはわかりませんので、すべて覚えるしかありません。
以下の記事内で紹介しているオリジナル問題のAが参考になるかと思います。
・色彩検定1級の出題傾向と対策!
https://shikisaikentei-online.com/taisaku1#2-3
■マンセル値とPCCSの変換
基本的には 記事内の対応表にないマンセル値に関しては「目測」にておおよその色相の見当をつけるということになるかと思います。
例えば「マンセル値2.5R」というのは、PCCSでいうと「1:pR(紫みの赤)」と「2:R(赤)」の間になるわけですから「赤にほんのちょっとだけ紫がはいった感じかな?」といったイメージが浮かべば良いわけです。
記事内の対応表をひととおり覚えておけば、以上のように応用的に対応することができます。
※ただ あくまで個人的見解でいうと、そもそも「マンセル値2.5R」に対応するカラーカードが存在しないので、それをPCCSに変換させるような微妙な問題が出る可能性は低いとは思いますが…
詳しい説明ありがとうございます。
1級合格目指して頑張ろうと思います。
[…] 読みまくりました。 そのでおすすめされるテキストを購入したり、勉強法を真似したり、とっても役に立ちました。 参考にしてたブログ https://shikisaikentei-online.com/2ji_hissu http://color-sl.info/ […]
いつもとても参考にさせていただいております。
今年の1級二次受験のためただいま勉強中なのですが、主に2017・2018年の問題集を問いて対策している中で、素朴な疑問があったので参考までにイシカワ様のご意見を頂戴できたらとコメントさせていただきました。
こちらの記事に書かれているような「PCCSの明度&彩度スケールの数値の暗記」や、「マンセルとPCCSの対応表」の暗記はいかほど必要なのか?感じました。
この過去2年以降の問題集を持っていないので過去の問題では必要だったのか分からないのですが、ここ2年くらいで出題傾向が変わったのでしょうか?
マンセルとPCCSの対応表に関しては参考図として提供されていますし…
長年色彩検定をみられているイシカワ様のご意見を伺えたらと思います。
お忙しいところすみませんがよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、近年の試験においては「PCCSの明度&彩度スケールの数値の暗記」や「マンセルとPCCSの対応表」に関しては、必ずしも暗記が必要ではなくなっています。
過去の試験では暗記が必須だったのでこの記事でも掲載を続けていますが、近年においてはその重要度が低下していることは事実です。※ただし「だから今年も出ない」とは言い切れませんので、その点は自己判断をお願いいたします。
早速のご返信ありがとうございます!
石川様にご意見いただけてよかったです。2年より前の公式過去問集が手に入らない中、どのように必要な知識なのかと不安に思いながら勉強しておりましたので…
絶対出ないとは言い切れませんので出来る限りの対策をして臨みたいと思います。
ありがとうございました!
はじめまして。
いつもブログを参考にさせていただいております。独学するものにとっては、心強い味方です。
二次試験もいよいよ近づいてまいりました。毎日不安な気持ちと焦りを感じています。
そこで早速質問なのですが、解答欄に貼るカラーカードの縦の長さは解答欄にあわせて貼るのですか。(2)と(3)のことです。
よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
2次試験において、カラーカードを切り貼りする際には「解答欄の大きさ(縦・横)に合わせて貼る」のが基本かと思います。
工作技術を問う試験ではありませんので、多少の「大・小」「曲がり」などは許容されるものと思いますが、基本的には解答欄のサイズに合わせて切り張りするようにしましょう。
【補足】仮に 1cmx1cmの正方形で切り張りしたとして、それが不正解になるかどうかは 検定協会以外の人間にはわかりません。一方、解答欄のサイズに合わせて貼った場合に、不正解になることはありません。これは私にも断言できます。ですから、迷うのであれば「確実な方=解答欄に合わせて切る」で作業するのがよいかと思います。
早速のお返事ありがとうございます。
基本的なことですが、確認するすべがなかったので困っていました。
参考にさせていただきます。
こんにちは。先日お世話になったものです。
本日無事2次試験も合格しておりました。
カラーコーディネーター1級も併願しておりましたので、時間がない中で、両方合格できたのはこのブログでまとめられていた必須知識を覚えることから始めたことが大きいと思います。過去問で出題傾向を把握すれば、おのずとやるべきことがみえてきて、高いお金を出してまで二次試験用の問題集を手に入れる必要はないと思いました。本当にお世話になりました。
コメントありがとうございます!
そして1級合格おめでとうございます!! 当ブログが少しでもお役に立ったようでなによりです!
いつも参考にさせていただいています。
一級一次無事合格いたしました。
二次試験の問1は最近の傾向だと2020年の過去問同様にマンセルの問題なんですかね?過去問を入手できずにわからずいます。
コメントありがとうございます。
そして、1級1次 合格おめでとうございます!
■ 過去の傾向について
残念ながら 2020年度の過去問題集が いま手元にないので、それ以前の傾向がどうだったかを回答します。
以前の「2次試験の問1」は、問題用紙上にマンセル表色系の「等色相面」または「等明度面」がプリントされており、これに関して、以下のような設問が行われるのが一般的でした
・別途用意された色見本を、「等色相面」または「等明度面」上の 最も近い場所に貼り付ける
・その色に対応するマンセル値を記載する
【2021.11.16 追記】その後、2020年度1級過去問題集を確認できました。問1は2019年以前と同じく上記ような問題でした。
■ 本年の試験に関して
昨年の1級試験は、旧テキスト範囲からの移行措置の対象だったため、いわば2019年以前の傾向「も」引き継ぐ形で出題されました。
それに対して 今回の2021年冬期試験は、完全に新テキストに依拠した形で行われる初めての 試験ということになります。
問われる内容・知識自体は 従来から大きく変わらないものと思われますが、可能性として、出題形式(質問の仕方)が、別角度からのものになる可能性はあるかと思います。
なかなか うまいアドバイスもできませんが、2次試験合格をお祈りしております!
いつも参考にさせていただいております。
今年度から完全に新テキストに依拠した試験になるということで、問4に対する勉強方法が分からずにいます。
昨年のような出題形式であれば対策済みなのですが、また新しい形式に変わってしまうと正直答えられる自信がありません…。
コメントありがとうございます。
正直言いまして、私にも今年の試験がどのような出題形式になるのか見当がつきません。
ただ、他に対策のしようもないので、従来の形式を前提に学習する形でよいのではないかと思います。
もし仮に、出題形式が大きく変わった場合、戸惑うのは他の受験者の方も一緒ですから、全体の正答率も下がるはずです。
その場合、色彩検定協会の側も、全体の「合格点(合格ライン)」を下げて対応してくれるのではないかと推測しています。
おそらく色彩検定協会も、今年だけ1級2次試験の合格率(受験者総数に対する合格者の割合)が 異様に低くなることは望んでいないはずです。
あくまで推測でしかないので 的確なアドバイスもできませんが、試験が うまくいきますようお祈りいたします!
先日お世話になった者です。
2次試験ですが、無事に合格しておりました。
問4は完全に新しい傾向で出題され、やや焦りましたが、なんとか解くことが出来ました。
本当にありがとうございました!
ナノシさん、合格おめでとうございます!
新しい傾向で出題されたんですね。貴重な情報ありがとうございます。
過去問題集が発売されましたら、確認してみようと思います。
いつもとても参考にさせていただいております。
今年の1級二次受験のためただいま勉強中なのですが、試験中に配布される新配色カード199は、カードの裏印刷の記号や、マンセル記号との対応一覧などの情報は同様に記載されているのでしょうか?
イシカワ様のご意見を伺えたらと思います。
お忙しいところすみませんがよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
1級2次試験時に配布される「新配色カード199a」は、以下のようになっています。
・カード裏面の色記号:あります
・マンセル記号との対応一覧:ありません
あくまで私が受験した際の情報ではありますが、現在も一緒だと思います
詳しくは、以下の記事もお読みください。
:色彩検定で使用するカラーカード(新配色カード199a)について
https://shikisaikentei-online.com/color_card
返信頂きありがとうございます。
リンクまで貼って下さり、丁寧なご対応ありがとうございます!
二次試験まであと数日ですが頑張ります!